神敬治らベテランと若手が融合した北海道が16日の決勝戦に臨む [写真]=本田好伸
準々決勝でデウソン神戸、準決勝でペスカドーラ町田を撃破し決勝戦へ駒を進めたエスポラーダ北海道。「PUMA CUP 2014 第19回全日本フットサル選手権大会」でその舞台に立つのは初めてであり、北海道勢という意味でも初のことだ。今シーズンのリーグ戦では前期8位、後期7位と停滞。町田との1分けがあるものの、それ以外の7試合で全敗していた両者を打ち破った理由はどこにあるのだろうか。
すべては彼らの仲の良さ、結束力の強さといったチームカラーにある。ベテランと若手が分け隔てなくプレーし、全員がチームのために攻守に汗を流すことができる。それはベテラン選手の性格によるところも大きい。嵯峨祐太、神敬治、上貝修、水上玄太の4人のオーバー30たちは、厳しさよりも穏やかさが印象的な選手だ。「若い選手にあんまりうるさく言う方ではないし、(ミスをしても)いいよって声を掛けることができる。プライベートでも一緒に楽しめるので若手にとってはやりやすいチームなのかもしれない。僕たちも若い選手と距離があると感じたことはない」(神敬治)。勝負の世界である限り、シビアな面も必要だ。しかし全員が同じ方向を向いて切磋琢磨できる彼らのチーム性は、若手の伸び伸びとしたプレーを促進している。
「戦術的な部分よりも選手のアドリブに任せている面があるので、波に乗ると相手も僕たちのことを脅威と感じると思う」と、普段から選手たちのやり方を尊重する小野寺隆彦監督の考え方も大きい。他チームと比べて戦術面には乏しいために、行き詰まってしまう場面はある。しかし一撃必殺のセットプレーや選手のひらめきは、一度ハマれば大きな成果を生み出す。特に今大会のような一発勝負の舞台でそれは顕著に現れる。事実彼らは、Fリーグ テバオーシャンアリーナカップ2012や前回大会でも3位を手にし、カップ戦での強さを示している。
Fリーグ入りを目指して2008年1月に結成した北海道は(当時の仮称は北海道フットサルクラブ)、その年の北海道リーグを全勝優勝し、各地域リーグの代表チームが結集するFUTSAL地域チャンピオンズリーグでも優勝。2009年にFリーグ参入を果たすと、いきなりシーズン4位を収めて注目を浴びた。サッカースキルの高い若手を次々と輩出し、スピードと豊富な運動量を武器に躍進を遂げていくが、次第にフットサルらしさが増していく一方で、その後のリーグ戦では思うような成績をつかむことができずにいた。フットサルを熟知するベテランと能力の高い若手が融合し、彼らはフットサルとサッカーの融合を図ってきたチームだとも言える。それは今後のフットサル界にとっても重要なテーマの一つである。
現在33歳の神は19歳でフットサルを始め、自身のフットサル人生で初めて今大会決勝戦の舞台に立つ。「10年以上やってきてやっとここまでたどり着いた。そういう意味では、今まで一緒にやってきた人の分まで戦うという気持ちがある」。今大会で彼らがまた一つ自信を深めた時、フットサル界もまた一つ進化を遂げるのかもしれない。
勝ち上がってきた勢いそのままに、北海道が名古屋オーシャンズを打ち破るのか。それとも名古屋がその勢いを制するのか。フットサル界の新たな歴史を刻む一戦は、16日15時、国立代々木競技場第一体育館でキックオフを迎える。激闘必至の戦いから目が離せない。
文・写真=本田好伸
PUMA CUP 2014 第19回全日本フットサル選手権大会 決勝トーナメント 準決勝
2014年3月15日(土)
会場:国立代々木競技場第一体育館(東京都)
14:00 バルドラール浦安 1-11(1-4、0-7) 名古屋オーシャンズ
16:30 ペスカドーラ町田 1-9(1-1、0-8) エスポラーダ北海道
[決勝戦・3位決定戦の組み合わせ]
2014年3月16日(日) 会場:国立代々木競技場第一体育館(東京都)
3位決定戦
12:00 バルドラール浦安 vs ペスカドーラ町田
決勝戦
15:00 名古屋オーシャンズ vs エスポラーダ北海道